読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

どら猫亭日乗

読書や音楽、時評もどき(?)など、なんでもござれのブログです。

名フィル第9演奏会2016

今日は名古屋フィル第9演奏会を聴きに行きました。今年は現役引退を表明した名フィル名誉指揮者のモーシェ・アツモンさんの、最後の演奏会です。

ソプラノ:森谷真理
メゾ・ソプラノ:池田香織
テノール:与儀巧
バリトン山下浩
合唱:愛知県合唱連盟
指揮:モーシェ・アツモン
管弦楽名古屋フィルハーモニー交響楽団


年末に第9を演奏されるようになったのは、戦後になってからで、当時のオーケストラは収入を上げるために(特に年末年始の生活に困らないように)、合唱がついたベートーヴェンのこの大作を演奏するようになった。あれから数年、今年の第9はそれ以上の意味を持った演奏会になる。モーシェ・アツモンさんが、指揮者活動を引退する最後の演奏会である。

今年の第9演奏会は、一味違うものになると、現役引退のニュースを聞いたときから思ったが、本当にそうだった。アツモンさん現役最後の演奏会であって、楽団員も合唱団も、最高の演奏会にしようという熱い気持ちが、演奏を通じて伝わった。これ以上のない、忘れられない名演奏だった。

先週の定期のブラームスの2番も、今回の第9も、アツモンさんの思い入れのある曲として、渾身のタクトを振っていた。アツモンさんの演奏は、今年になって聴きに行くことができた。でも、まだもう少しだけでも指揮を続けてほしい。そう思うのは、みんな同じではないだろうか。
今回のソリストの皆さんも、素晴らしかった。ソプラノの森谷真理さんは、あいちトリエンナーレ魔笛』のパミーナ役も記憶に残っている。メゾ・ソプラノの池田香織さんは、イゾルデ役が話題になっていたので、楽しみにしていた。実にドラマティックで圧倒的な歌唱力!
テノールの与儀巧さんも、バリトン山下浩司さんも、すごくよかった。伸びやかで迫力があった。そして、愛知県合唱連盟の皆さんも素晴らしかった。最高の第9をありがとうございました!
アツモンさん、長い間お疲れ様でした!ありがとうございました!Thank you for maestro Moshe Atzmon!! And maestro Moshe Atzmon&NAGOYA Philharmonic is forever!!

 
f:id:satosuke-428125:20161218095331j:image


f:id:satosuke-428125:20161218095346j:image


f:id:satosuke-428125:20161218095356j:image

 

2015年アーカイブズ:名古屋フィル第430回定期演奏会

今日は名フィル第430回定期演奏会を聴きに行きました。今回の演目は、次のとおり。

ホルスト:日本組曲 作品33 H.126
藤倉大:フルート協奏曲
ホルスト組曲「惑星」作品32 H.125

指揮:マーティン・ブラビンス
フルート:クレア・チェイス
管弦楽名古屋フィルハーモニー交響楽団

今回の演目は、ブラビンスさんの出身国・イギリスの作曲家グスタフ・ホルスト組曲を中心に、そして今回世界初演した藤倉大さんのフルート協奏曲である。
ホルストが日本の舞踏家・伊藤道郎のために作曲した「日本組曲」は、漁師の歌や越後獅子など、日本民謡の旋律をモチーフにしたもの。プロコフィエフプッチーニなど、日本の音楽に魅了された作曲家はいるが、ホルストもそのひとりであることは知らなかった。
ファゴットから演奏する漁師の歌から、エネルギッシュな狼たちの踊りまで、バラエティ豊かに散りばめられた佳曲。日本人には馴染みやすい曲だが、後で演奏された「惑星」ほど有名ではない。CDもあまりないようなので、YouTubeで探すしかない。

藤倉大「フルート協奏曲」はモーツァルトイベールのような、単なる協奏曲ではない。全種類のフルートを駆使して演奏するのだ。通常のものから、ピッコロにテナー・フルート、コントラバス・フルートと、まさにフルートを一堂に集めた協奏曲である。
冒頭からいきなり鬼気迫る演奏するので、さすがに面食らってしまい、びっくりぽんだった。メロディーも先の「日本組曲」を聴いたせいか、それっぽい感じもしたし、ちょっぴりグロテスクだったり、幻想的だったりもする。ソリストのクレア・チェイスさんは、演奏するのに大変ではないかと思うくらい、4種類のフルートを弾きこなし、世界初演の成功を果たした。
全曲終演後、ポストリュード(いわゆるミニコンサート)で、同じ藤倉さん作曲の「リラ」を演奏した。これはフルート協奏曲のカデンツァとおぼしき曲で、これも素晴らしかった。また冒頭の日本語でのスピーチも上手で、とても素敵だった。

何より聴けてよかったのが、ホルストの代表作・組曲「惑星」だ。これは、僕が初めて好きになったクラシック音楽で、いろんな演奏を聴いてきた曲である。今回生演奏で聴くチャンスに恵まれ、今日を楽しみにしていた。もう大満足で、大編成のオーケストラの底力を見せた名演奏だった。第1曲の「火星」の戦争を思わせる激しい悲劇的な曲の冒頭から、ぞくぞくする感じが出た。「金星」の穏やかで優美な雰囲気、「水星」のチャーミングなスケルツォ、中間のメロディーを歌詞をつけて平原綾香が歌って話題になった有名曲「木星」、逃れられない宿命を描いた「土星」、デュカスの「魔法使いの弟子」を思わせる「天王星」、後半で女声合唱が加わり神秘的な世界を繰り広げる「海王星」。どれも名演奏。ブラビンスさんは、オーケストラの持ち味を最大限に引き出す、まさに“魔術師”ではないかと思った。本当にファンタスティックである。

最後に、ポストリュードでクレア・チェイスさんの演奏を客席で聴きにいらしたブラビンスさんと藤倉さんを見かけたので、厚かましくもサインをしていただくよう依頼したら、快く引き受けていただきました。ありがとうございました!



f:id:satosuke-428125:20161212072729j:plain



f:id:satosuke-428125:20161212072737j:plain



f:id:satosuke-428125:20161212072745j:plain



f:id:satosuke-428125:20161212072751j:plain



f:id:satosuke-428125:20161212072757j:plain

名古屋フィル第422回定期演奏会

今日は、名古屋フィルハーモニー交響楽団第442回定期演奏会を聴きに行きました。
曲目は、次のとおりです。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61
ブラームス交響曲第2番ニ長調op.77

ヴァイオリン:イリヤグリンゴルツ
指揮:モーシェ・アツモン
管弦楽名古屋フィルハーモニー交響楽団

名フィル名誉指揮者のモーシェ・アツモンさんが、今年を持って現役を引退するというニュースは、長年の名フィルファンにとってはショックであり、寂しく思ったことだろう。名フィルとともに歩いていき、支えていったアツモンさん。有終の美を飾る今回の定期は、実は僕が初めて聴くアツモンさんの指揮である。すなわち、最初で最後だ。
そんなアツモンさんの最後の定期のプログラムは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と、ブラームス交響曲第2番である。ブラームス交響曲は、当初は第3番ヘ長調だった。第3番は、晩年に差しかかった時期に作曲したもので、ほの暗い情熱とセンティメンタルなメロディを込めた曲である。しかし、アツモンさんがそんな寂しく終わるような曲よりも、明るく幸福感に満ちた第2番を選んだことは、大正解だった。しかも、初めて名フィルを指揮した曲がこの2番で、思い入れのある大切な名曲である。
アツモンさんは、いわゆる”爆演“型の指揮者ではない。確かに激しさはあるが、必要以上に煽ったりしない。派手な感じはないが、聴いていて熱いと感じる。そして何より、音楽の形を崩さず着実に作り上げる。安心して聴いていられる希有な指揮者である。
ブラームスの田園交響曲といわれるこの交響曲だけあって、伸びやかで広大な大地にいるような感じの曲。アツモンさんは、本当にこの交響曲が好きで、愛しているのだと感じさせる名演だった。そして、終演後の達成感と幸福感が、ホーム全体を包み込んでいた。大喝采のなか、アツモンさんは、本当に幸せそうだった。まだベートーヴェンの第9演奏会があるが、これも聴きに行くことになっている。本当に最後の現役の演奏会。有終の美を見届けたい。

さて、イリヤグリンゴルツさんを向かえてのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。先日宗次ホールで、パガニーニの24のカプリース全曲演奏会が話題になったばかりで、実はパーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルハーモニーの演奏会と重なってしまい、聴けずになったのが悔やまれる。それだけに、今回の演奏会は本当に楽しみだった。
先日聴いた樫本大進さんの厚みがかかった演奏も印象的だったが、グリンゴルツさんは、爽やかで軽やかだった。第3楽章のロンドは、風のようにスキップするような感じだったが、軽く演奏してはいない。でも重たさもない。実にバランスのいい演奏だ。カデンツァも、アンコールのカプリース22番もすごかった。今回はワインベルクの協奏曲しか売られていなかったが(これもスゴい演奏)、サインをしていただき、カプリースタワレコのサイトで購入しました。


f:id:satosuke-428125:20161211080717j:image
f:id:satosuke-428125:20161211080724j:image
f:id:satosuke-428125:20161211080738j:image
f:id:satosuke-428125:20161211080757j:image
f:id:satosuke-428125:20161211080808j:image
f:id:satosuke-428125:20161211080814j:image





パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団演奏会@豊田市コンサートホール



今日は、豊田市コンサートホールにて開催された、パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団演奏会を聴きに行きました。パーヴォさんは以前N響とのコンビで、名古屋で聴きに行きましたが、このコンビの演奏会を聴きに行ける機会は、滅多にないことなので、楽しみにしてました。
曲目は、次のとおりです。

シューマン:歌劇『ゲノフェーファ』序曲op.81
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61
シューマン交響曲第3番変ホ長調op.97『ライン』

ヴァイオリン:樫本大進
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
管弦楽:ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団

驚いたのは、演奏前のオケのチューニングがなかったこと。通常ならするのだが、すでに済ませたのか、いつするのかと訝っているうちに、パーヴォさんが登場。シューマンを演奏したのだ。さすがである。でも、ベートーヴェンの協奏曲は行わないわけにはいかないようだったが。
シューマンの唯一の現存するオペラ『ゲノフェーファ』は、文学青年だったシューマンらしい作品で、一言でいうなら愛憎に満ちた恋愛ドラマである。N響で見せた切れ味抜群の指揮ぶりが、ここでも発揮している。
樫本大進さんをソリストに迎えた、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。これがこの演奏会の白眉だった。大進さんがパーヴォさんと一緒に演奏を切望した曲だというが、今演奏したい曲を選んだのが、満を期したという感じだ。実に生き生きと演奏していた。大物の風格を漂わせながら、軽やかにしなやかに、この大曲を弾ききった。その達成感が、演奏後会場にいる人たちに伝わった。この演奏を、そのままCDにしてほしいくらいだ。録音は実現できるかどうかはわからないが。
交響曲『ライン』は、CDでよく聴いているが、ライヴのほうが迫力があって、これまたすごかった。特に第1楽章と第5楽章が、実に見事だった。シューマン晩年の傑作で、この頃精神の病気にあった。第4楽章のケルンの大聖堂の荘厳な雰囲気を表した、ほの暗い旋律は、そのままシューマンの精神状態をも表しているかに見える。明暗のメリハリがきいた、ロマン溢れる演奏だった。パーヴォさんとドイツ・カンマーフィルの演奏、まさに神っていた。この演奏会を聴きに行けた幸福感と、演奏会の臨場感は、忘れられない。

ところで、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、今度名古屋フィル定期で演奏するのですが、グリンゴルツさんのヴァイオリンとアツモンさん指揮の演奏は、どんな感じでしょうか?
また、このコンビの新譜、ブラームス交響曲第2番(これも名フィル定期で演奏)がリリースされ、早速購入。終演後にサインをしていただきました。
今年残り1ヶ月の最高の演奏会になりつつあります。

 
f:id:satosuke-428125:20161204183543j:image
f:id:satosuke-428125:20161204183554j:image

f:id:satosuke-428125:20161204183559j:image
f:id:satosuke-428125:20161204183630j:image
f:id:satosuke-428125:20161204183637j:image
f:id:satosuke-428125:20161204183644j:image




名古屋フィル第440回定期演奏会

今日は、名古屋フィルハーモニー交響楽団第440回定期演奏会を聴きに行きました。曲目は次のとおりです。

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調op.15
バルトーク管弦楽のための協奏曲Sz.116

ピアノ:ゲルハルト・オピッツ
指揮:小泉和裕
管弦楽名古屋フィルハーモニー交響楽団

名フィル音楽監督の小泉さんと、大物ピアニストゲルハルト・オピッツさんを迎えてのの今回の定期。プログラムもブラームスバルトークの大曲であって、楽しみにしていた。
まずは、ブラームスのピアノ協奏曲。激しくみずみずしい情熱と、この世を超えた美しさとその憧れを込めた、ブラームス初期の代表作。オピッツさんは、ドイツ・ピアノ界を代表するピアニストであって、ヴィルヘルム・ケンプにも師事した。
彼の演奏は円熟味があって、それでいてしなやかで力強く、みずみずしく感じさせる。若きブラームスの音楽世界を見せてくれた。貫禄あるピアニストだが、時折若々しくも見える。僕の席からは後ろ姿しか見えなかったが、柔らかそうな指の動きが印象的だった。オピッツさんは、あまり演奏を聴くことはないが、今回の演奏を聴いたことは、とても貴重な体験だった。

バルトークの代表作『管弦楽のための協奏曲』通称オケコンは、オーケストラの底力を試される、しかも憧れを抱く大曲である。戦争と体調、経済的困窮と、晩年の彼はピンチとスランプの最中にあった。その時期に作曲したオケコンだが、聴く側も難解で、オケ側も難曲である。リズムもメロディーも難しく取っ付きにくい。それゆえに憧れやチャレンジングのある名曲だろう。
この難曲も小泉さんはお手のもので、無駄のないキレキレでシャープの指揮ぶりを発揮、オーケストラもビシッと決まった演奏だった。この曲もあまり聴くことはないが、改めてその魅力を発見した。

終演後には、オピッツさんのサイン会があって参加してきました。とてもチャーミングで、温かい方でした。そんなオピッツさんと小泉さん&名フィルは、大阪や新潟、長野へと演奏会に向かいます。ちなみにオピッツさんが演奏する協奏曲は、ベートーヴェンの第5番『皇帝』です。


f:id:satosuke-428125:20161120075606j:image
f:id:satosuke-428125:20161120075621j:image
f:id:satosuke-428125:20161120075627j:image
f:id:satosuke-428125:20161120075639j:image
f:id:satosuke-428125:20161120075644j:image




バッハ・コレギウム・ジャパン名古屋定期演奏会

今日は三井住友海上しらかわホールでの、バッハ・コレギウム・ジャパン名古屋定期演奏会を聴きに行きました。約1年ぶりです。
プログラムは、オールJ ・S ・バッハでした。

管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV 1067

結婚カンタータ『しりぞけ、もの悲しき影』BWV202

オーボエ・ダモーレ協奏曲イ長調 BWV1055R

カンタータ『すべての国よ、神を誉め讃えよ』BWV51


ジョアン・ラン(ソプラノ)

菅きよみ(フラウト・トラヴェルソ)

三宮正満(オーボエ・ダモーレ)

ジャン=フランソワ・マデュフ(トランペット)

鈴木雅明(指揮&チェンバロ)

バッハ・コレギウム・ジャパン

今回は、名古屋だけの特別プログラムという触れ込みだったが、昨日までにバッハの大作『ミサ曲ロ短調BWV232』を演奏していたこともあり、小規模な構成になった。室内楽のようなスタイルだが、演奏自体は悪くなかった。
管弦楽組曲第2番ロ短調は、菅きよみさんのフラウト・トラヴェルソによる演奏で、フランス様式の優雅で華やかな曲である。最初はフラウト・トラヴェルソの音色が聴き取りにくかったが、後半になって聴きやすくなった。特にパディネリは、演奏が早いだけに困難ではないかと感じるが、なめらかな感じが出たのはよかった。

ソプラノのジョアン・ランさんがソリストの“結婚カンタータ”は、聴いていて幸せな気分だった。彼女が、このカンタータに出てくる春の女神・フローラのように、歌声も美貌も素晴らしい。昨秋のBCJ全米ツアー&ヨーロッパ公演でもソリストに抜擢、絶賛されたというが、この演奏会でもその歌唱力を披露した。

オーボエ・ダモーレ協奏曲は、三宮正満さんがソリスト。“結婚カンタータ”でも見事な演奏ぶりだった。通常の(というのかな)オーボエより、柔らかい響きをもつダモーレ。その甘い少し深みのある音色と、巧みな演奏テクニックを、スマートにかっこよく弾けるとは。容姿もかっこいい三宮さん、女性はもちろん、男性も惚れたのではないですか?

再度ジョアン・ランが歌うバッハのカンタータ『すべての国よ~』でも、彼女の輝かしい美声は発揮され、これまた魅了された。ただ、ちょっと無理している感もあった。やはり今日までに歌い続いたせいもあるが、最後まで歌いきった。本当に素晴らしいソプラノであるし、今後の活躍も注目したい。
何より驚いたのは、マデュフさんのトランペットの演奏である。もうこれは、超絶技巧の域を達しているのではないか。栄光をイメージした感じも出ていた。現在のスタイルのトランペットを、どのように演奏しているのか、気になった。

最後に。後半開演前に、鈴木さんのレクチャートーク(?)があって、菅さん、三宮さん、マデュフさんが出てきて、それぞれの楽器の紹介をしていただきました。成り立ちから演奏法まで、興味深い面白い内容でした。
次回はどんな内容になるか、楽しみです。

 


f:id:satosuke-428125:20161113212801j:image
f:id:satosuke-428125:20161113212809j:image
f:id:satosuke-428125:20161113212815j:image
f:id:satosuke-428125:20161113212826j:image
f:id:satosuke-428125:20161113212834j:image




 

上原彩子ピアノ・リサイタル@各務原市民会館文化ホール

今日は、岐阜県各務原市にある各務原市民会館文化ホールで開催された、上原彩子ピアノ・リサイタルを聴きに行きました。上原さんは、各務原市に育っていることもあって、まさに里帰りのリサイタルであります。また今年3月に名古屋フィル定期で、常任指揮者だったマーティン・ブラビンズさんとの、ラフマニノフパガニーニの主題による狂詩曲の演奏も、印象深かったです。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.310
シューマン:謝肉祭 op.9
クライスラーラフマニノフ:愛の悲しみ、愛の喜び
ムソルグスキー組曲展覧会の絵

アンコール/シューマントロイメライ~「子供の情景」から
      チャイコフスキー:花のワルツ~バレエ音楽くるみ割り人形」から


メインはシューマンムソルグスキーといえるが、モーツァルトソナタの清々しい溌剌とした、時々垣間見える陰りのある雰囲気の演奏も捨て難い。シンプルでわかりやすい、でも難しいところがある。モーツァルトの音楽世界を、余すことなく弾いていた。

シューマン初期の大曲「謝肉祭」も、彼独自のファンタジーを描き出した。最初の前口上の堂々とした輝きから静かな、でも激しさもある曲が展開され、舞曲に行進曲もある楽しい曲である。ドイツ・ロマン派の曲も、上原さんのレパートリーにふさわしい名演奏だった。

しかし上原さんはなんといっても、ロシア音楽ではなかろうか。チャイコフスキー・コンクール・ピアノ部門で優勝し、ラフマニノフからプロコフィエフの作曲家を演奏してきた彼女である。今回はラフマニノフのトランスクリプションズとムソルグスキー組曲をチョイスした。
クライスラーと同じマネージャーだったラフマニノフが、彼の有名なヴァイオリン曲を、もっと華やかにピアノ編曲した。これも見事。
ムソルグスキーの壮大な組曲も、華やかに陰影を秘めて、しかし鍵盤という絵の具で音楽の絵画を描ききった。ムソルグスキーのオリジナルはピアノ曲で、ラヴェル編曲が人気である分、隠れがちになってしまった。しかし、ホロヴィッツから辻井伸行さん、アリス=紗良・オットなどこぞって演奏されるようになって、もちろん上原さんもCDの録音もある。最後のキエフの大門は、実に圧巻だった。
今回のプログラムは、どれもライヴで一度は聴きたい曲なので、とても満足している。
アンコール曲は、シューマントロイメライと、チャイコフスキーの花のワルツと、夢のある曲である。ちなみに、花のワルツは上原さんの編曲であるとのこと。ムソルグスキーの壮大な絵画を描いた彼女が、チャイコフスキーのバレエの世界を自ら描いてみせたのはすごい。

ただ興醒めだったのは、「展覧会の絵」の途中で、携帯の着信音が鳴ったことだ。やはり聴衆のマナーが悪いのは、演奏者にも失礼極まりない。これは守って欲しい。

上原さんのサイン会にも参加しました。とてもチャーミングな方でした。同県から素晴らしい才能を持った方が、国内外で活躍しているのは、本当に喜ばしく思ったリサイタルでした。


f:id:satosuke-428125:20161023203223j:image


f:id:satosuke-428125:20161023203246j:image


f:id:satosuke-428125:20161023203303j:image


f:id:satosuke-428125:20161023203319j:image


f:id:satosuke-428125:20161023203333j:image