アリーナ・イブラギモヴァ 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
今日は名古屋市にある、電気文化会館ザ・コンサートホールで開催された、アリーナ・イブラギモヴァの無伴奏ヴァイオリン・リサイタルを聴きに行きました。曲目は次のとおりです。
ビーバー:パッサカリア ト短調
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調「バラード」27-3
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタSz.117
アリーナ・イブラギモヴァは、ロシア生まれのヴァイオリニストで、これまでに数々の指揮者とオーケストラ、またリサイタルを開催、CDも多数リリースされている。
彼女の演奏を初めて聴いたのは、名古屋フィルの定期演奏会で、ショスタコーヴィチの第1番協奏曲だった。これがすごい演奏で、今も記憶に残っている。そして同名フィル定期で、ベルクのヴァイオリン協奏曲でも、美しくは激しい悲しみを、見事に演奏しきっていた。
名フィルのソリストで聴いていたので、こういうリサイタルではどう演奏するのか、ずっと楽しみにしていた。
いやあ、名フィル定期よりものすごい演奏会でした。とにかく、凄まじい。一音たりとも、無駄がなく、聴く人たちを引きつける。その集中力と精神力は、どこから来るのか、想像もつかない、まさに神がかりの熱演だった。
特にバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータの2番。後半のジーグとシャコンヌが、もうすごい。もちろん最初のアルマンドから、壮大な無伴奏ヴァイオリン世界を開いていく。ジーグを弾いたときから、圧倒された。それから、シャコンヌは交響曲のような重厚感を感じさせる。アリーナはそんな集中力と精神力で、見事にバッハの宇宙観を見せていた。
イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタの「バラード」も、それ以上に熱く濃厚で、あっという間だった。演奏困難といわれる曲だが、それさえ忘れて聴き入った。バルトークもまたしかり。これまた難曲だが、予備知識抜きでも、ヴァイオリン一挺だけでこんなに大きな世界が広がっているのかと、驚くはずだ。
アンコールはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番からアンダンテ。激しい曲の後に訪れる安らぎ。それさえも、神の名演奏だった。
終演後のサイン会では、とても気さくで可愛らしい方でした。やはり、演奏だけでなく、人柄でも魅了されました。