どら猫亭日乗

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名古屋フィル第434回定期演奏会

今日は、名古屋フィル第434回定期演奏会を聴きに行きました。曲目は次のとおりです。

ベートーヴェン交響曲第4番変ロ長調 作品60
R・シュトラウス家庭交響曲 作品53

指揮:小泉和裕
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団

本年度から、名古屋フィルの音楽監督に就任した小泉和裕さん。今回の定期は、その就任披露公演である。
小泉さんの指揮は、これまで東京都交響楽団と日本センチュリー交響楽団、そして名フィルと何度か聴きに行っているので、僕には馴染み深い存在である。
小泉さんの指揮は、キレキレで揺るがないし、ブレがない。一音も無駄にしない。オーソドックスで着実、ややもするとつまらなく感じがちになってしまう。クラシック音楽では貴重な存在だが、それがどの方向へ向かっていくかで、その後が決まるというリスクもある。
それでも名フィルとは、これまで幾度も指揮をしているので、徐々に信頼関係を築き上げている。今回の定期でも、その関係が揺るがないものであることを証明した。

ベートーヴェン交響曲第4番は、この時期にぴったりな、春らしいうららかな雰囲気を漂わせている。前回第3番「英雄」も堂々とした指揮を披露していたが、こうした曲も手を抜かずに、でも軽やかに、曲の雰囲気を損なうことなく指揮をしている。これがまた、素晴らしい。名フィルサウンドも華やいだ感じで、でも浮かれてはいない。程よい緊張感が、実に見事だ。

R・シュトラウス家庭交響曲」は、作曲家自身の家庭生活を描写した傑作で、ヒステリックな妻とやんちゃ盛りの子供が、音楽で表現されているのが面白い。
小泉さんはこの曲に深い思い入れがあるらしく、都響との演奏もCD化されている。「オーケストラをひとつの家庭と見立てて演奏」する小泉さん、ここにも名フィルとの信頼を伺える演奏になった。
大編成のオーケストラで、あまり知られていないため、めったに演奏されない。しかし、この曲は実に面白いし、R・シュトラウス節がふんだんに取り入れている。一回聴いただけではわからないが、R・シュトラウスのロマンティックで時には辛辣なユーモアを漂わせている。
その音楽世界を、小泉さん×名フィルは、実に見事に演奏しきっていた。名フィルのチームワークと、小泉さんの指揮ぶりがマッチした名演奏だった。これまでにない演奏と言ってもいいだろう。

今後も期待が高まる小泉さんの名フィル音楽監督就任。これからどんな方向に行くのか、一ファンとして見守っていきたいです。



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