どら猫亭日乗

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岐阜県交響楽団第85回定期演奏会

今日は地元のアマオケ岐阜県交響楽団第85回定期演奏会を聴きに行きました。場所は、羽島市にある不二羽島文化センター・スカイホールです。曲目は次のとおりです。

ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
ムソルグスキーラヴェル編曲:組曲展覧会の絵

指揮:小田野宏之
ギター:荘村清志
管弦楽岐阜県交響楽団

昨年は聴いていなかったので、今回久々に行ってきた。やはり、岐阜響サウンドは健在だった。プロのオケと比較するのははばかられるが、オーソドックスなレパートリーを守りながら、それに止まらない、挑戦し続ける力強さを感じさせる。今回は、岐阜県出身の名ギタリストの荘村清志さんを迎えてのロドリーゴのアランフェスとあって、楽しみにしていた。

ウェーバーの「オベロン」は妖精界の王様のことで、一言であらすじをいえば、夏の夜の夢に匹敵するラブコメである。古典派からロマン派のひとつ手前の作曲家で、「魔弾の射手」と並んで有名な曲。歌劇のアリアのメロディーを引用するので、聴いたいて楽しい。

この演奏会で素晴らしかったのは、荘村清志さんがソリストのアランフェス協奏曲だろう。実はアランフェス協奏曲を聴くのは初めてで、あまり通して聴く機会がなかった。今回聴いてみて、これほど素晴らしい曲はないと思った。第1楽章は、スペインの陽光が降り注ぐような光景を思い浮かんできた。あまりにも有名な第2楽章のメランコリックなメロディーは、哀切漂うだけでない、陰りのなかの情熱を激しく演奏し、第3楽章の宮廷風の舞曲も軽やかで、スペインの風にふかれているかのよう。
荘村清志さんのギター演奏は、派手ではないが、しみじみと心地よい。心に響くような弦の音色にしびれた。幾度も演奏してきた曲だけに、決して気負うことなく、かといって得意気に演奏するようなところもない。自然体というかもしれないが、それも作られたものではない、長年の経験を積んできて得たものだろう。
アンコールに、タルレガの「アルハンブラの思い出」を演奏。これも古い時代のスペインに想いを馳せた曲。これも名演奏だったのに、終わりがけにフライングの拍手が。もう少しマナーを守って聴いて欲しいですね。

後半の「展覧会の絵」は、ラヴェル編曲だけあって、色彩豊かな音楽描写を期待していたが、聴いた感じは濃い水彩画といった趣だった。あまりにもベタベタだと食傷気味、薄すぎても味気ない。小田野さんはバランス感覚のある、誠実な指揮ぶりを伺えるが、それがオーソドックスで破綻のない演奏になるし、どこか物足りなく感じることもある。
でも、最後のキエフの大門は、これまでの積み重ねが花開いたかのようで、オケ全体が色とりどりの絵の具で描写する光景が目に浮かんだ。

次回はラフマニノフのピアノ協奏曲と、交響曲それぞれの第2番。今年2月に中部フィルでも聴いたのだが、胸いっぱいのお腹いっぱいだったので、どうしようか、考え中です。



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