名フィル・スペシャル・リクエスト・コンサート
日本特殊陶業市民会館フォレストホールで、「あなたが決める スペシャル・リクエスト・コンサート」を聴きに行きました。
これは、1月から3月にかけて、名古屋フィルの演奏会で、どの曲を聴きたいかというアンケートを募集し、いちばん得点が高かった曲を演奏するという、画期的なプログラム編成であります。
その高得点の曲が、次のとおり。
ワーグナー:歌劇『タンホイザー』序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 作品73『皇帝』
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調 作品95『新世界より』
指揮:川瀬賢太郎(タンホイザー&皇帝)
円光寺雅彦(新世界より)
ピアノ:小山実稚恵(皇帝)
プログラムを見るとおり、これぞクラシックの王道揃いである。オープニングで円光寺さんが「選んだお客様はお目が高い」みたいなことを言っていたが、筋金入りのクラシックファンは食傷気味といえる。しかし全曲ボリューム感があり、クラシックを聴いた気になるのには最適といえる。
ワーグナーのタンホイザー序曲は、まさか取り上げるとは思わなかった。この曲は、僕自身ではめったに演奏を聴く機会がない。まさにリクエスト・コンサートの僥倖だった。
神聖と俗世の狭間で苦しむタンホイザーのドラマである。ホルンから始まる「巡礼の合唱」の旋律には、いつ聴いてもゾクッとする。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」は、彼の協奏曲のなかでいちばん有名ではないだろうか。華やかできらびやかな曲で、堂々としている。これはベートーヴェンしか作曲できないのではないか。
ソリストの小山実稚恵さんは、何度か聴いているが、これほど美しくきらびやかな皇帝を聴いたことがあったのかと思うくらいだった。名フィルとは、ラフマニノフの2番と3番の協奏曲を演奏が印象的だったが(しかも指揮者が川瀬賢太郎さん)、それと並ぶ名演奏ではないか。アンコールの『エリーゼのために』も可愛らしかった。
円光寺雅彦さんに指揮をバトンタッチした、ドヴォルザーク『新世界より』は、可もなく不可もなく、ただバランス感覚がいいといったところか。しかし、全体的にボリューム感がある曲揃いという点では、こういった演奏がいいのではと思う。あまりにも熱演だと、聴いても疲れが出てしまう。有名な「家路」の第2楽章は、ノスタルジック感が、日本人にはマッチしていて、それで第1位になったのではと分析している。ベートーヴェンやブラームスみたいな、カチカチな雰囲気より、ドヴォルザークやチャイコフスキーのメロディーの親しみやすさが、一般的にはウケているのかもしれない。
カーテンコールには、円光寺さんと川瀬さん、ソリストの小山さんまで登場し、川瀬さんはなんと後半前のアナウンスやお見送りもしていました。スペシャルだけに不意打ちでした。また川瀬さんは、最下位の曲目をやりたいと言ってました。曲目は、次のとおり。
ベルリオーズ:序曲『海賊』
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番
ベートーヴェン:交響曲第1番
実現できるんですかね…。