どら猫亭日乗

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演奏会アーカイブ:名古屋フィル市民会館名曲シリーズ

今日は名古屋フィル市民会館名曲シリーズ(日本特殊陶業市民会館フォレストホールにて開催)「マーティン・ブラビッシモ!Ⅳ マーラー」を聴きに行きました。曲目は次のとおり。

マーラー
リュッケルトによる5つの詩
Ⅰ私は穏やかな香りを
Ⅱ美しさゆえに愛すなら
Ⅲ私の歌を覗かないで
Ⅳ真夜中に
Ⅴ私のこの世から姿を消してしまった

交響曲第5番嬰ハ短調

バリトン:与那城敬
指揮:マーティン・ブラビンズ
管弦楽名古屋フィルハーモニー交響楽団

常任指揮者マーティン・ブラビンズさんが、数々の名作曲家の作品を取り上げるこのシリーズ。今回はマーラーである。マーラー名フィルではたびたび取り上げる作曲家で、今回は僕の好きな第5番ということあって、楽しみにしていた。

まず『リュッケルトによる5つの詩』。バリトンの与那城敬さんは、オペラやコンサートで活躍中、NHKニューイヤーオペラコンサートにも出演している。マーラーは『大地の歌』にも出演している。
『リュッケルト~』は、名前のとおり彼の詩をもとに、マーラーが作曲したもので、バリトンだけでなく、メゾ・ソプラノ、近年ではソプラノも歌うこともある。
最初の一曲『私は穏やかな香りを』から、与那城さんの美声に引き込まれた。歌唱力も抜群で、スタイルもいい。まさにバリトン界のトップスターだけある。
『真夜中に』『私はこの世から姿を消してしまった』は、特に素晴らしかった。希望と諦観の狭間で、ひとつの光を見いだす光景を、見事表現している。もう、うっとりしてしまった。

マーラー交響曲第5番は、おそらくマーラーで『巨人』と並んで有名な曲で、ヴィスコンティ監督作品『ベニスに死す』に第4楽章・アダージェットが用いられて有名になった曲だ。
冒頭のトランペットが印象的で、肝心なところだが、緊張したのか、ちょっと音が外れた感があったが、その後はキメていた。
大編成のオーケストラとあって、迫力のある音楽世界を築いていく過程を楽しんで聴いていた。ブラビンズさんは、キレのある指揮で、バランスよくオケのパートの演奏を際立っている。
やっぱり白眉はアダージェットとフィナーレだろう。弦楽器とハープだけで、美しい黄昏が目に浮かぶような雰囲気を描けるのだ。思わず涙ぐんでしまった。
フィナーレは、明るい光溢れるロンド。希望に満ちた力強い音楽。『復活』のような神々しさも感じる。
名フィルでは、ティエリー・フィッシャーさんが常任指揮者だった頃の定期で聴いたことがあるが、今回はそれを上回る演奏だった。もうお腹も胸もいっぱいの名演奏だった。

今月で常任指揮者を終えるブラビンズさん。最後の定期も聴き行く予定なので、楽しみにしています。

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