2014年どら猫的マイベストブックス
すっかりご無沙汰していると思っていたら、もうすでに年末!である。数少ないこのブログの読者には、大変申し訳ないとしか言いようがない。ひとえに怠け癖が引いてしまったがためのことだ。
それでは、この一年の間読んできた本を振り返ってみよう。2014年度どら猫的マイベストブックスの発表です。
【単行本部門】
まずは、この1冊。
①
この作者の作品は、芥川賞受賞作『ハリガネムシ』しか読んでいなかったが、本書の衝撃たるや、並外れたものではない。3・11以降の日本を垣間見たような気がした。まさにディストピア小説の傑作。twitterでも話題になったが、もっと多くの人に読まれてもいい。
②
これはすでにマスコミでも話題になっていた。東日本大震災後の日本製紙石巻工場を追ったノンフィクション。多大な被害を受けた製紙工場の再生の苦しみと喜びとともに、いかに本や雑誌の紙が作られているか、工場の再生にどれだけ粉骨砕身してきたかがわかる。電子書籍の時代だからこそ読まれた力作。
③
先の衆院選選挙は暗澹たる結果だった。しかし本書を読むと、その選挙前後に
熱狂のない醒めた感じの空気感が漂っていることに気がつく。本書はそのことを指摘した、ドキュメンタリー映画監督の雑文集だが、どれも考えさせられずにはいられない事柄だ。
【新書部門】
①
②
これらは、両方読んだほうがいいだろう。この国が戦後、もしくは東日本大震災および東電原発事故で得たもの、または失ったものの大きさが、どれだけのものだったかを思い知らされるだろう。この大きさを我々がどう受け止めるかで、今後の日本の未来が見えてくると思う。
ちなみに、赤坂真理氏『東京プリズン』(河出文庫)、白井聡氏『永年敗戦論』(太田出版)、笠井潔氏『8・15と3・11-戦後史の死角』(NHK出版新書)も併せて読んでおきたい。
③
本格化になっているかのような集団的自衛権。わからないという人でも、本書ぐらいは読んだほうがいい。そもそも何のためにこの法が存在し、戦争をしてまで得たいものは何かがわからないまま、様子を見るだけでは最悪の事態になりかねないことになる。本書はその手引きになる。
【文庫部門】
①
『誰も知らない』などで知られる映画監督が、こんなノンフィクションを手がけたとは知らなかった。世のため人のため働くというのはひとつの美徳だが、それが人を苦しめることになる。本書はそのことを思い知らされる。この高級官僚は、生き方も不器用だったが、真面目で一途な人だった。まさに鎮魂の1冊。
②
同じ福島県出身のふたりが、福祉や原発などをゲストを交えて語りあう、楽しい考える1冊。
来年も素晴らしい本との出会いを楽しみにして。
それでは、よいお年を!